今回の登場人物

ミナミ
社会人3年目の投資初心者。
NISAをきっかけに海外投資に興味津々。素直で前向きな性格。

たかせ先生
元証券マンの独立系アドバイザー。
丁寧な解説がモットーの穏やかな先生。コストには厳しい現実派。
欧州株・ドイツ株に投資してみたい!初心者向け・低コストな方法を先生に聞いてみた

ミナミ: 先生、最近NISAを始めてみたんですけど、日本株だけじゃなくて、海外の株にも興味が出てきちゃって。ヨーロッパとか、経済が強そうなドイツとかって、投資するのってどうなんですか?

たかせ先生: お、ミナミさん、いいところに目をつけたね!ヨーロッパには魅力的な企業がたくさんあるし、経済の中心であるドイツや、欧州全体に投資することは、資産を分散させるっていう意味でもすごく良い考え方だよ。世界に目を向けるのは素晴らしいことだ。

ミナミ: やった! でも、ヨーロッパの会社の株を直接買うのって、なんだか難しそうだし、手続きとかも大変そうなイメージがあって…(汗)

たかせ先生: うん、確かに日本の個人投資家がヨーロッパの個別企業の株を直接買うのは、ちょっとハードルが高いかもしれないね。普段使っているネット証券だと、そもそも取り扱っていなかったり、選択肢が限られたりすることが多いんだ。

ミナミ: やっぱりそうなんですね…じゃあ、諦めるしかないのかなぁ。(しょんぼり)

たかせ先生: いやいや、諦めるのはまだ早いよ!もっと手軽で、初心者にもおすすめの方法があるんだ。それが「投資信託」や「ETF(上場投資信託)」を活用する方法だよ。これらを使えば、日本の証券会社の口座から、比較的簡単に、しかも低コストで欧州株やドイツ株に投資を始めることができるんだ。

ミナミ: とうししんたく?ETF? しかも低コスト! なんだか良さそうですね!キラキラ✨

たかせ先生: そうだろう?特に投資の世界では「コスト」を意識することが、将来のリターンに大きな影響を与えるんだ。今日は、日本で買える欧州株・ドイツ株関連の投資信託やETFの中から、特にコストが低い選択肢に注目して、それぞれの特徴や選び方を詳しく解説していくよ。

ミナミ: わーい!ぜひ聞きたいです!よろしくお願いします、先生!
なぜ欧州・ドイツ株? そして「コスト」がそんなに大事なの?

たかせ先生: まず、なぜ欧州やドイツへの投資が面白いか、簡単に触れておこうか。ヨーロッパには、世界的に有名な自動車メーカーや製薬会社、高級ブランドなど、様々な優良企業が存在する。経済規模も大きく、世界経済への影響力も大きい。特にドイツは欧州最大の経済大国として知られているよね。

ミナミ: たしかに、聞いたことある会社がたくさんありそうです。

たかせ先生: 投資の基本の一つに「分散投資」があるんだけど、これは卵を一つのカゴに盛らないように、投資先を一つに集中させず、色々な地域や資産に分けてリスクを抑える考え方なんだ。日本の資産だけでなく、欧州のような海外資産も持つことで、より安定した資産形成を目指せる可能性があるよ。

ミナミ: なるほど、リスクを分けるんですね。

たかせ先生: そして、今日一番強調したいのが「コスト」の重要性だ。投資信託やETFには、「信託報酬」や「経費率」といった保有している間ずっと払い続けるコストがかかるんだ。これは、運用会社や販売会社への手数料のようなものだね。

ミナミ: えっ!? ずっとかかるんですか!?

たかせ先生: そうなんだ。例えば、年間のリターンが5%期待できる商品があったとしても、コストが年1%かかれば、実質的なリターンは4%になってしまう。これが1年ならわずかな差に見えるかもしれないけど、10年、20年と長期で投資を続けると、この差は雪だるま式に大きくなって、最終的に手元に残るお金にかなりの違いが出てくるんだ。

ミナミ: うわ…それは無視できないですね。コストが低い方が、利益が残りやすいってことですね!

たかせ先生: その通り!投資のリターンは市場の状況によって変動するから、自分でコントロールするのは難しい。でも、どの商品を選ぶか、つまり「コスト」をどれだけ抑えるかは、投資家自身がコントロールできる数少ない要素の一つなんだ。だから、商品選びではコストをしっかり比較することが、賢い投資家になるための第一歩と言えるよ。
どうやって買うの? 日本から欧州・ドイツ株へのアクセス方法

たかせ先生: さて、具体的にどうやって欧州株やドイツ株に投資するかを見ていこう。さっき話したように、個別の株を直接買うのは少し難しい。そこで、主な選択肢となるのが以下の3つの方法だ。
- ① 国内籍投資信託
日本の運用会社が作って、運用している投資信託のこと。
普段使っている証券会社や銀行で、円建てで簡単に買えることが多い。
購入時手数料が無料(ノーロード)のものも多い。
例:「インデックスファンドDAX(ドイツ株式)」など。
- ② 国内上場ETF (上場投資信託)
東京証券取引所(TSE)のような日本の取引所に上場している投資信託。
株と同じように、取引時間中に円建てでリアルタイムに売買できる。
投資信託に比べて、信託報酬が低い傾向にある商品もある。
例:「NEXT FUNDS ドイツ株式・DAX(H有) ETF (2860)」など。
- ③ 外国上場ETF
アメリカのニューヨーク証券取引所(NYSE)などで上場しているETF。
SBI証券、楽天証券、マネックス証券などのネット証券を通じて、日本からも購入できる。
種類が非常に豊富で、中には非常に低い経費率の商品も多い。
基本的には米ドル建てでの取引になる(円貨決済サービスもあるけど、為替手数料がかかる場合がある)。
例:「バンガード・FTSE・ヨーロッパETF(VGK)」や「iシェアーズ MSCI ドイツ ETF(EWG)」。

ミナミ: へぇ~、いろんな方法があるんですね!どれを選べばいいんだろう?

たかせ先生: 良い質問だね。どれを選ぶかは、それぞれのメリット・デメリットと、さっき話した「コスト」構造の違いを理解することが重要だよ。
- 国内投資信託: 手軽だけど、信託報酬がやや高めな場合がある。
- 国内上場ETF: 取引が簡単で信託報酬が低いものもあるけど、売買時に株と同じ手数料がかかる(証券会社の無料プラン対象の場合もある)。
- 外国上場ETF: 経費率は魅力的なものが多いけど、外国株の売買手数料(例えば約定代金の0.495%、上限22米ドルなど)や、円とドルを交換する際の為替手数料がかかる。売却時には現地の費用(SEC Feeなど)もかかる場合がある。

ミナミ: うーん、単純に信託報酬とか経費率だけ見ればいいってわけじゃないんですね。「トータルコスト」で考えないとダメってことか…。

たかせ先生: まさにその通り!ミナミさん、理解が早いね。商品の内部コスト(信託報酬・経費率)と、取引にかかる外部コスト(売買手数料・為替手数料)の両方を考えて、自分にとって一番有利な方法を選ぶ必要があるんだ。
【実践編①】欧州株全体に広く投資したい!低コストな選択肢は?

たかせ先生: まずは、ヨーロッパ全体の株式市場にまるっと投資したい場合。この分野で、特にコスト面で注目されるのが、アメリカに上場しているETFだよ。
最有力候補:バンガード・FTSE・ヨーロッパETF (ティッカー: VGK)
どんなETF?: イギリス、フランス、ドイツ、スイスなど、ヨーロッパの先進国の主要企業(大型〜小型株まで)に幅広く分散投資できるETFだ。これ一つで欧州の主要企業にまとめて投資できるイメージだね。
コストは?: なんと言っても経費率の低さが魅力!年率0.1%前後(※必ず最新情報を確認)と、非常に低い水準なんだ。世界的に有名なバンガード社の商品で、純資産総額も非常に大きいから、流動性(売買のしやすさ)も高いよ。
どこで買える?: SBI証券、楽天証券、マネックス証券など、米国株を取り扱っている主要なネット証券で購入できる。
注意点は?: 米国上場のETFなので、さっき説明した米国株の売買手数料(約定代金の0.495%、上限22米ドルなど)や、為替手数料がかかる可能性がある。また、為替ヘッジはないので、ユーロやドルの対円での為替レートの変動が、円でのリターンに影響する(円安になれば有利、円高になれば不利になる)。

ミナミ: 経費率0.1%ってすごい低いですね! でも、外国株の取引になるから、手数料とか為替のことはちゃんと理解しておかないといけないんですね。

たかせ先生: その通り。コストの低さは大きなメリットだけど、取引の手間や追加コスト、為替リスクを考慮する必要があるね。初心者にとっては少しハードルを感じるかもしれないけど、有力な選択肢の一つだよ。
【実践編②】ドイツ株に集中投資したい!選択肢を徹底比較!

たかせ先生: 次は、欧州の中でも特にドイツの株式市場に投資したい場合。こちらは、国内の投資信託やETF、そして海外ETFと、いくつかの選択肢があるから、それぞれの特徴を比較してみよう。

ミナミ: ドイツ株は選択肢が多いんですね!

たかせ先生: そうなんだ。主に以下の4つが挙げられるよ。それぞれの特徴を表にまとめてみようか。
商品名(例) | タイプ | 指数 | コスト目安(税込/年率) | 為替ヘッジ | 特徴 |
---|---|---|---|---|---|
インデックスファンドDAX(ドイツ株式) | 国内投信 | DAX | 約0.77% | なし | 手軽だがコスト高め |
NEXT FUNDS DAX(H有) ETF (2860) | 国内ETF | DAX | 約0.20% | あり(対円) | コスト最安。国内取引。ヘッジ固定。 |
iShares MSCI Germany ETF (EWG) | 米国ETF | MSCI Germany | 約0.50% | なし | 2860より高コストだが幅広い指数。要・米株取引コスト/為替リスク |
iShares USD Hedged MSCI Germany ETF (HEWG) | 米国ETF | MSCI Germany | 約0.53% | あり(対米ドル) | EWGの米ドルヘッジ版。コスト高め。円での為替リスクは残る。 |

ミナミ: わー、複雑…! 表で見ると分かりやすいけど、やっぱりどれを選んだらいいか迷いますね…。

たかせ先生: ポイントは「コスト」「為替ヘッジの有無」「連動する指数」の3つで、どれを優先するかによって選ぶべきものが変わってくるんだ。まさにトレードオフの関係だね。ミナミさんならどう考えるかな?
- コストを最優先するなら?
→ 為替ヘッジがOKならNEXT FUNDS 2860 (国内ETF)が信託報酬 約0.2%と断トツで低い。取引も国内株と同じで楽。
→ 為替ヘッジはしたくないならEWG (米国ETF)が経費率 約0.5%で、インデックスファンドDAX (0.77%) よりは有利。ただし、取引コストと為替手数料は別途かかる。
- 為替リスクをどう考える?
→ 為替変動リスクを避けたいならNEXT FUNDS 2860 (円ヘッジ) が最も直接的。HEWGは米ドルヘッジなので注意。
→ 為替差益も狙いたい、またはリスクを許容できるならEWG や インデックスファンドDAX (ヘッジなし)。
- どの指数に投資したい?
→ ドイツの代表的な大企業中心(DAX指数)が良いならNEXT FUNDS 2860、インデックスファンドDAX。
→ もっと幅広くドイツ株全体(MSCI Germany指数)に投資したいならEWG、HEWG。

ミナミ: なるほど~!コストが一番低いのは2860だけど、必ず円ヘッジが付いちゃうんですね。ヘッジなしでコストを抑えたいならEWGだけど、今度は米国株の取引になる…と。ふむふむ、自分が何を重視するかで決めるしかないんですね!

たかせ先生: その通り!特に国内ETF (2860) と海外ETF (EWG) は、取引のしやすさも違うからね。2860なら日本の取引時間中に円で、株と同じように売買できる。EWGは米国の取引時間に合わせて、基本ドルで取引し、手数料体系も違う。初心者には国内ETFの方がとっつきやすいと感じるかもしれないね。
【まとめ】自分に合った選び方のポイント

たかせ先生: さて、色々と見てきたけど、欧州株やドイツ株への投資商品を選ぶ際のポイントを整理しよう。
- コスト意識を最優先に!
信託報酬や経費率は低いか?(継続的にかかるコスト)
売買手数料や為替手数料を含めたトータルコストで比較する。国内ETFの売買手数料無料プランや、米国ETFの買付手数料無料キャンペーンなどもチェックしよう。
投資対象(指数)を明確に
「欧州全体」に広く投資したいのか?(例: VGK – FTSE Developed Europe)
「ドイツ」に集中したいのか?
ドイツなら、主要企業中心(DAX)か、より広範囲(MSCI Germany)か?自分の投資目標に合った指数を選ぼう。
為替ヘッジの有無を決める
為替変動リスクを避けたいか?(ヘッジあり:2860, HEWG)
為替差益も狙いたい、またはリスクを受け入れるか?(ヘッジなし:VGK, EWG, インデックスファンドDAX)
ヘッジにはコストがかかることも忘れずに。
流動性も確認
純資産総額や日々の出来高は十分か?今回紹介した商品は、基本的に十分な流動性があると考えられるけど、念のためチェックするとより安心。
証券会社選びも重要
そもそもその商品を取り扱っているか?
手数料体系はどうか?(国内株・米国株の手数料、無料プランの有無)
為替手数料(スプレッド)は有利か?
取引ツールの使いやすさや、ポイントプログラムなども比較検討しよう。

ミナミ: なるほど!コストだけじゃなくて、指数とか為替ヘッジとか、自分の考えをしっかり持って選ぶことが大事なんですね。
結論:低コストな選択肢のおさらいと、最終的な考え方

たかせ先生: 今日見てきた中で、特に低コストという観点から注目すべき選択肢をまとめると、こうなるかな。
欧州株全体 に投資したい(為替ヘッジなし)
⇒ Vanguard FTSE Europe ETF (VGK) 【米国上場ETF】経費率が非常に低い(0.1%前後目安)。
※ただし、米国株の取引コスト・為替手数料・為替リスクあり。
ドイツ株 に投資したい
- 為替ヘッジあり でOKなら ⇒ NEXT FUNDS ドイツ株式・DAX(H有) ETF (2860) 【国内上場ETF】信託報酬が最も低い(約0.2%)。国内取引で売買しやすく、トータルコストも抑えやすい可能性。
- 為替ヘッジなし がいいなら ⇒ iShares MSCI Germany ETF (EWG) 【米国上場ETF】インデックスファンドDAXより低コスト(約0.5%)。ただし、連動指数がDAXと異なり、米国株の取引コスト・為替手数料・為替リスクあり。

ミナミ: こう見ると、それぞれのメリット・デメリットが分かりやすいです!

たかせ先生: 最終的にどれを選ぶかは、ミナミさん自身の投資目標、どれくらいリスクを取れるか(特に為替リスク)、どの市場に魅力を感じるか、そして取引の手間やコストをどう考えるか、といった点を総合的に判断して決めることになる。単純に「これが一番!」と断言できるものではないんだ。

ミナミ: 自分で考えて選ぶことが大切なんですね。今日教えてもらったことを参考に、じっくり検討してみます!
最後に:投資を始める前の注意点

たかせ先生: うん、それが一番大事だよ。最後に一つだけ注意点。今日紹介した情報は、あくまで現時点(2025年4月12日時点など)でのもので、経費率や手数料、取り扱い状況などは将来変わる可能性があるからね。
【免責事項】
投資を行う前には、必ず最新の公式情報(目論見書や証券会社のウェブサイトなど)を確認し、内容をよく理解してから、ご自身の判断と責任において投資を行ってください。 このブログ記事は、情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の購入や売却を推奨するものではありません。

ミナミ: はい、わかりました!先生、今日は本当にありがとうございました!すごく勉強になりました!

たかせ先生: どういたしまして。分からないことがあれば、またいつでも聞いてくれたまえ。応援しているよ!
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